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ローカルLLMとは:企業が導入する理由・しくみ・向かない場合

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ローカルLLMは、社内に置いたAIサーバーの中で動かす生成AIです。入力した内容を社外のAIサービスへ送らずに処理できます。しくみ、企業が導入する理由、限界と向かない場合を解説します。

この記事の要点

  • ローカルLLMは、社内に置いたAIサーバーの中で動かす生成AIで、機密情報を扱う環境を自社の管理下に置けます。
  • 回答の精度と応答速度に限界があり、社外への通信を遮断する構成では、インターネット検索も使えません。
  • オンプレミスLLMや社内LLMという呼び名だけでは、サーバーの設置場所や、社外への通信を遮断しているかは分かりません。
  • 機密情報を入力しない用途なら、多くの場合、クラウドの生成AIで足ります。

ローカルLLMは社内のAIサーバーで動かす生成AI

ローカルLLM(社内に置く生成AI)は、社内に置いたAIサーバーの中でLLM(大規模言語モデル)を動かし、文章の作成や要約に使うしくみです。質問や資料の内容をAIサーバーの中で処理するため、社外のAIサービスへ送らずに使えます。

クラウドの生成AIは、サービス事業者が用意したサーバーを、インターネットなどのネットワーク経由で使う方式です。入力した内容はサービス事業者のサーバーへ送信され、そこで処理されます。ローカルLLMでは、この処理を社内のAIサーバーで行います。

総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月)は、生成AIを、文章、画像、プログラム等を生成できるAIモデルにもとづくAIの総称と定義しています。LLMは、このうち文章を扱うAIモデルです。

この記事では、企業がAIサーバーを社内に置き、複数の社員で使う形を扱います。個人が自分のPCで動かす方法は扱いません。

処理も保存も社内のAIサーバーの中で行うしくみ

ローカルLLMでは、質問の受け付けから回答の生成、内容の保存までを、社内ネットワークにつないだAIサーバーの中で行います。当社の導入支援で構築する環境を例に、質問から回答までの流れを示します。

  1. 社員が自分のPCのブラウザを開き、質問を入力します。資料のファイルを渡すこともできます。
  2. 入力した内容は、社内ネットワークを通ってAIサーバーに届きます。
  3. AIサーバーの中で、LLMが回答を生成します。資料の読み込みも、AIサーバーの中で行います。
  4. 回答がブラウザに表示されます。質問や資料の内容は、AIサーバーの中に保存されます。

各PCへソフトを導入する必要はなく、設置の際に社内用の証明書を登録します。使えるのは、社内ネットワークにつないだPCです。社外のAIサービスは利用せず、入力した内容がAIの学習に使われることもありません。

設置場所と通信の遮断は、別々に確認する

AIサーバーを社内に置くことと、社外への通信を遮断することは、別の事柄です。提案を受けるときは、どの通信を遮断し、遮断できていることをどう確認するかを尋ねます。

当社の導入支援では、AIサーバーから社外への通信を遮断します。

オンプレミスLLMや社内LLMは設置場所と通信を確認する

オンプレミスLLMと社内LLMは、ローカルLLMと近い意味で使われますが、呼び名だけでは、社外への通信を遮断しているかどうかが分かりません。社内LLMは、サーバーの設置場所も呼び名からは分かりません。提案を比べるときは、呼び名よりも中身を見ます。

オンプレミスは、総務省の「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>」(第4版、2025年12月)が、自組織の敷地内でサーバーを運用する利用形態と説明しています。閉域は、インターネットなど外部のネットワークから切り離した環境を指して使われる言葉です。同ガイドブックには、庁内のネットワークと専用線でつないだ閉域のクラウド環境に、生成AIを構築した自治体の事例も載っています。閉域と説明されていても、サーバーが社内にあるとは限りません。

似た言葉の整理(この記事での意味)
言葉この記事での意味呼び名から分からないこと
ローカルLLM社内に置いたAIサーバーの中で動かすLLM社外への通信を遮断しているか
オンプレミスLLM自社の敷地内に置いたサーバーで動かすLLM社外への通信を遮断しているか
社内LLM社内向けに用意したLLMの環境サーバーの設置場所、社外への通信を遮断しているか
閉域の環境外部のネットワークから切り離した環境サーバーの設置場所、例外にする通信

プライベートLLMも、決まった定義のない呼び名です。こうした名前で提案を受けたときは、構築を依頼する会社に次の項目を確認します。

  • AIサーバーをどこに設置するか。機器は誰の所有か
  • 入力した内容と会話の履歴が、どこで処理され、どこに保存されるか
  • AIサーバーから社外への通信があるか。ある場合は、何のための通信か
  • 社外への通信がないことを、どう確認できるか
  • 入力した内容が、AIの学習に使われないか
  • 運用とソフトウェアの更新を、誰が担当するか

サーバーがサービス事業者の施設にあれば、入力した内容は社外に置かれます。機密情報を入力できるかどうかは、これらの答えで判断します。

導入する理由は機密情報を社内で処理できること

企業がローカルLLMを導入する理由は、機密情報を扱う生成AIの環境を、自社の管理下に置けることです。情報漏洩が心配で、生成AIに入力する内容を絞っている会社の選択肢になります。

総務省の「令和8年版 情報通信白書」(2026年7月)は、生成AIの活用で懸念されるリスクを企業に尋ねた調査を載せています。日本では、社内情報の漏洩などのセキュリティリスクがあるという回答の割合が最も高く、出力結果の精度に問題があるという回答が続きました。ローカルLLMが応えるのは、このうち、入力した内容が社外のAIサービスへ送られることによる情報漏洩の懸念です。社内での持ち出しや権限の設定漏れといったリスクは残り、精度の懸念も解消しません。

クラウドの生成AIでは、入力した内容が保存されるか、AIの学習に使われるかを、サービスごとに規約と設定で確認します。規約や設定は変わることがあるため、使い始めたあとも見直します。個人データや取引先から預かった情報を入力する場合は、法律と契約の面の判断も必要です。

ローカルLLMのメリットは、入力した内容を処理し保存する場所を、自社で決められることです。入力した内容の扱いが、サービス事業者の規約や設定の変更に左右されることもありません。ただし、社内に置いても、誰が何を入力できるかという利用ルールは必要です。

使いどころは結果を人が確認できる作業

ローカルLLMの使いどころは、社外に出せない情報を使い、結果を人が確認できる作業です。当社の導入支援で構築する環境では、次の作業ができます。

  • 文書の要約・確認(契約書や規程のPDF、スキャンした書類)
  • 文章の作成・添削
  • 資料の作成・修正(Excel・PowerPoint・Word・PDFのファイルを作成)
  • プログラムの作成
  • 社内文書の検索(登録した規程やマニュアルから探して回答)

要約や下書きは、担当者が原文と見比べて直せます。作成したファイルも、数字と体裁に目を通してから使います。AIの回答をそのまま最終の判断にする使い方には向きません。

当社の導入支援では、他システムとの連携はオプションです。社外からの利用と、会話履歴のバックアップには対応していません。

デメリットは回答の精度と検索、応答速度

ローカルLLMのデメリットは、回答の精度と応答速度に限界があることです。社外への通信を遮断する構成では、インターネット検索も使えません。当社の導入支援で構築する環境の限界と、使うときの備えを表にまとめます。

ローカルLLMの限界と備え
限界内容備え
回答の誤りAIの回答には、誤りが含まれることがある重要な判断は、原文で確認する
回答の精度クラウドの最新モデルに及ばない場合がある精度を優先する用途は、クラウドの生成AIと使い分ける
インターネット検索対応していない最新の情報を調べる用途には使わない
応答速度長い文書の読み込みに時間がかかる。同時に利用する人数が増えると遅くなる読み込む文書と同時に利用する人数を、導入前に伝える
作成したファイル内容の確認が必要担当者が目を通してから使う

回答の誤りは、クラウドの生成AIにも共通する性質です。クラウドの最新モデルとの精度の差には、モデルの規模が関わります。総務省の「令和7年版 情報通信白書」(2025年7月)は、一般にパラメータ数(モデルの規模を表す値)の多いLLMほど学習能力が高く、大規模なLLMはクラウドサービス経由で提供されることが多いと説明しています。

機器を社内に置くことにも、手間がかかります。設置場所のほかに、利用者からの問い合わせやソフトウェアの更新を担当する人が必要です。保守を外部に任せる場合も、社内の窓口になる人は決めておきます。

機密情報を入力しない用途には向かない

ローカルLLMが向かないのは、機密情報を入力しない用途です。その場合は、機器の設置と運用が不要なクラウドの生成AIで足ります。精度や体制の面で向かない場合も含めて、状況ごとの目安を次の表に示します。

ローカルLLMが向く場合・向かない場合
状況選択の目安理由
契約書や人事・財務の資料、顧客情報を入力したいローカルLLM処理と保存がAIサーバーの中で済む
公開済みの情報だけを扱うクラウドの生成AI機器の設置と運用が不要
インターネットの最新の情報を調べたいローカルLLMは不向き当社の導入支援では検索に対応しない
回答の精度を最も重視するクラウドの生成AIクラウドの最新モデルに及ばない場合がある
機器の設置場所や社内の窓口を用意できないクラウドの生成AI設置と運用を担当する人が必要
利用する人が少なく、使う頻度も読めないクラウドの生成AIで試す機器の購入と構築が先に必要
外出先や自宅から使いたいクラウドの生成AI当社の導入支援では、社外からの入口を設けない
用途によって扱う情報が分かれる両方の併用機密情報だけを社内で扱う

迷うときは、機密情報を入力する業務があるかどうかを先に洗い出します。なければ、クラウドの生成AIから始めるのが現実的です。あれば、その業務だけをローカルLLMで扱い、ほかはクラウドの生成AIを使う併用も選べます。

検討は用途と入力する情報の書き出しから

導入を検討するときは、どの業務で使うか、どの情報を入力するか、利用人数と同時に利用する人数を、先に書き出します。

出典・参考資料

この記事は、株式会社ペルメアが作成しました。内容は更新日時点のものです。制度や各社のサービスの内容は変わることがあります。

よくある質問

個人のPCで動かすローカルLLMとは、何が違いますか
個人が自分のPCでLLMを動かす使い方も、ローカルLLMと呼ばれることがあります。この記事で扱っているのは、社内に置いたAIサーバーを、複数の社員が各PCのブラウザから使う形です。当社の導入支援で構築するのも、この形の環境です。
ローカルLLMは、何に使えますか
当社の導入支援で構築する環境では、文書の要約・確認、文章の作成・添削、資料の作成・修正、プログラムの作成に使えます。契約書や規程など、社外に出せない資料を扱う作業に向いています。AIの回答には誤りが含まれることがあるため、結果は担当者が確認します。
ローカルLLMのデメリットは何ですか
クラウドの最新モデルに回答の精度が及ばない場合があること、同時に利用する人数が増えると応答が遅くなること、機器の設置場所や運用を担当する人が必要なことです。当社の導入支援で構築する環境は、インターネット検索にも対応していません。機密情報を入力しない用途なら、多くの場合、クラウドの生成AIで足ります。
オンプレミスLLMや社内LLMは、ローカルLLMと同じものですか
近い意味で使われますが、同じとは限りません。社内LLMや閉域という呼び名からは、サーバーの設置場所が分からないためです。提案を受けたときは、処理と保存の場所、社外への通信の有無、運用の担当を確認します。

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